【倉田荘太郎医師に聞く3】新ガイドラインから見える薄毛治療の未来

2018年10月22日

目次:

■薄毛治療のガイドラインが2017年に改定

■デュタステリドの内服が推奨度Aに

■赤色LED照射は相乗効果に期待

■将来は再生医療の応用も



このところ進化のスピードが加速している医学や医療。男性型脱毛症(AGA)の治療についても、新たな内服薬、赤色LEDや低出力レーザーなどの光治療、再生医療・細胞医療など、有望な新治療法がさまざまに模索されています。


男性に対する最新の薄毛治療にはどんなものがあるのか、薄毛治療の未来はどうなっていくのか、くらた医院院長倉田荘太郎医師に聞いてみました。


■薄毛治療のガイドラインが2017年に改定


日本におけるAGA治療は、日本皮膚科学会が2010 年に策定した「男性型脱毛症診療ガイドライン」によって科学的根拠に基づいた標準的な治療法が示され、その診療レベルは大きく向上しました。その後、新しい治療薬や治療手段が登場するとともに、女性の男性型脱毛症に対する概念の変化があったことなどより、2017年、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版」として改訂されました。


男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017 年版



A:行うよう強く勧める B:行うよう勧める C1:行ってもよい C2:行わないほうがよい D:行うべきではない


■デュタステリドの内服が推奨度Aに



2010年策定のガイドラインでの推奨度A(行うよう強く勧める)は、「ミノキシジル」の外用と「フィナステリド」の内服でした。2017年版では、新たに「デュタステリド」の内服が推奨度Aになりました。


フィナステリドもデュタステリドも、「5αリダクターゼ」を阻害する薬です。5αリダクターゼは、男性ホルモン「テストステロン」を正常なヘアサイクルを狂わせる「ジヒドロテストステロン」(DHT)に変換する酵素で、側頭部と後頭部の皮脂腺に存在する1型と、前頭部から頭頂部の毛乳頭に存在する2型があります。フィナステリドは2型のみを阻害するのに対して、デュタステリドは1型と2型両方を阻害します。


■赤色LED照射は相乗効果に期待


男性にも女性にも推奨度B(行うように勧める)となったのが、赤色のLEDやレーザーを利用した光治療「LEDおよび低出力レーザー照射」です。培養したヒト毛乳頭細胞での実験では、赤色ナローバンド(超狭帯域)LEDの照射が毛乳頭細胞を刺激して毛髪を増殖させる物質の分泌を促すことが確かめられています。


国内では医療機器として承認された機器はまだありませんが、有用性を示す明確なエビデンスが出はじめているとともに、光治療は副作用が比較的軽微で安全性が高いことから行うよう勧めることになりました。


他の治療法とは作用の機序が異なりますので併用できるとともに、相乗効果も期待できます。さらにエビデンスがそろうことで、光源の種類、波長や出力、照射回数・時間など、より効果的な条件が今後絞られていくことでしょう。



(赤色LED治療の仕組みを表す図)


■将来は再生医療の応用も


ガイドラインでは、成長因子導入や細胞移植療法といった毛髪再生医療についても新たに取り上げられました。しかしこれまで実施された臨床試験の多くがまだまだ先進医療の段階にあり、安全性なども含めて有効性が十分に検証されているとは言えないことから、細胞成長因子を使った成長期誘導と毛包の細胞を使った細胞治療については今後が期待されるものの、現時点では広く一般に実施できるとは言い難いとして、男性型・女性型ともに推奨度C2(行わない方がよい)とされました。


ただし、医学や医療は凄まじいスピードで進化しています。たとえば、自毛植毛の延長線上には、毛包の残っている皮膚から上皮細胞と間葉細胞を取り出して培養し、大量生産した後に移植する毛髪再生治療の研究が進み、すでにマウスでは効果が認められています。


AGAは、その原因が解明されたため、現在もさまざまなアプローチでの治療法が研究されています。治療の選択肢がさらに広がり、一人ひとりに最適な治療が可能になる未来も、そう遠くはなさそうです。



>>倉田荘太郎医師に聞く1: 発毛の治療、「何科」に行けばいい?

>>倉田荘太郎医師に聞く2: 気になる生え際や頭頂部。決め手は自毛植毛?


監修
日本臨床毛髪学会 / 常任理事
アデランス / メディカルアドバイザー
別府ガーデンヒルクリニック / くらた医院院長 倉田荘太郎医師


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