【倉田荘太郎医師に聞く1】発毛の治療、「何科」に行けばいい?

2018年10月10日

目次:

■AGAの特徴

■円形脱毛症の特徴

■基本的にはすべて皮膚科

■原因に応じた適切な治療を



「最近、薄毛が気になるけど、どんな治療をしたらいいのだろう」初めて治療を考えた時、何科を受診すればいいのか迷ってしまいますよね。男性型脱毛症(AGA)を中心に発毛治療は進化していますが、効果的な治療法は原因ごとに異なります。


では、どんな症状の場合はどんな治療をするべきなのでしょう?くらた医院院長倉田荘太郎医師に聞いてみました。


■AGAの特徴


男性の薄毛で一番多いのが、「男性型脱毛症」(AGA)です。男性では一般的に1日50~100本程度は、毛髪の生え替わりのヘアサイクルによって自然に抜けるものですが、短く細い抜け毛が増えてきたら要注意。通常2~6年とされる本来のヘアサイクルが乱れている可能性があります。


原因の一つが、精巣由来のホルモン「テストステロン」。これが髪の毛をつくる毛包に入ると、毛乳頭の中で「5αリダクターゼ」と呼ばれる酵素によって、強い男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」(DHT)に変換されます。DHTは、ヒゲには発育を促すシグナル、毛髪には発育を抑制するシグナルをそれぞれ発現させ、毛髪の場合成長期が短くなって薄毛になるわけです。


ただし、AGAには遺伝も大きく関係し、父方、母方双方の家系の家族歴も診断の材料になります。


■円形脱毛症の特徴



一方、男女や年齢を問わず発症するのが、「円形脱毛症」。名前から円形に抜けると思いがちですが、必ずしも丸いわけではありません。いくつか種類があり、脱毛が1カ所だけの「単発型」、2カ所以上脱毛している「多発型」、首筋近くの後頭部や耳の周りの側頭部、おでこの上などの生え際が帯状に脱毛する「蛇行型」、毛髪がすべて抜けてしまう「全頭型」、全身の体毛まで抜けてしまう「汎発型」があります。


かつてはストレスや血行の悪さが原因と考えられていましたが、現在では、バセドウ病や関節リウマチのような自己免疫疾患であり、毛包に炎症反応を起こすことが原因だと分かっています。遺伝子型に関係している病気ですが、インフルエンザや風邪、胃腸炎、出産、怪我、疲労(ストレス)などは、自己免疫反応を誘導するトリガーになりえます。


■基本的にはすべて皮膚科


薄毛にはこの他、カビの一種(真菌)が原因で梅雨時期から夏にかけて発症しやすい「脂漏性皮膚炎による脱毛」、怪我ややけどなどによって毛包を失う「瘢痕性脱毛症」、老化で毛穴が退化する「老人性脱毛」などがあります。 では、薄毛が気になったら、何科に行けばよいのでしょう。


最近ではAGA治療や薄毛治療をうたう専門クリニックも増えていますが、基本的には「皮膚科」であればどの疾患でも対応できます。症状によっては、より大きな病院を紹介されることもあります。


■原因に応じた適切な治療を



薄毛の治療法は、その原因によって異なります。



AGAについては、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」により、薬物療法としてはミノキシジルの外用とフィナステリドおよびデュタステリドの内服が、推奨度A(行うよう強く勧める:男性のみ)とされています。先行して上市していたフィナステリドには、ジェネリック薬も登場しています。ただし内服薬は服用し続ける必要がありますので、まずは塗り薬からはじめるのが基本です。また、根本的な治療法としては、DHTの影響を受けない後頭部の毛包を薄毛部分に移植する「自毛植毛」があります。


円形脱毛症の場合、爪程度の小さなものは気づかないうちにできて、自然に治るケースも少なくありません。ガイドラインでは局所免疫療法とステロイド局所注射が推奨されていますが、他にも有効な治療がありますので、医師とよく相談してオーダーメードで治療することが大事になります。


最近では、再生医療や細胞医療の研究も進み、自分の毛包を培養して移植する治療法なども開発されています。また、従来は対応の難しかった抗がん剤による脱毛について、それを抑制する世界初の成分「αリポ酸誘導体」が誕生しています。


いずれにしても、薄毛の多くは適切な治療によって進行を止めたり、回復したりすることが可能になってきています。適切な医療を受けるためにも、まずは皮膚科を受診し、自分の理想像なども含めて医師とじっくり相談してください。



>>倉田荘太郎医師に聞く2: 気になる生え際や頭頂部。決め手は自毛植毛?

>>倉田荘太郎医師に聞く3: 新ガイドラインから見える薄毛治療の未来


監修
日本臨床毛髪学会 / 常任理事
アデランス / メディカルアドバイザー
別府ガーデンヒルクリニック / くらた医院院長 倉田荘太郎医師


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