第3章 いまのあなたに笑顔を

病気と闘っている人がいます。
「傍らにいる私たちに、できることはあるのか」を常に考えていると、確かな一歩が見えてくるのです。たとえその一歩は小さくとも、未来へつながる活動を紹介します

あなたがつくってくれたウィッグがあるから旅行にも行けるわ

ヘアサロン『こもれび』には、たくさんのお客様がいらっしゃいます。このサロンがほかの美容室と違うのは、お店が病院内にあるということ、そして、お客様の多くが何かしらの病気と闘っているということです。 店長の桜庭純子さんは、病気や治療によって、脱毛してしまったお客様の髪のカットや、ウィッグの調整をするスペシャリストです。 「ウィッグは着けて終わりではありません。ご自髪が伸びてきたタイミングで、カットしながら調整していくので、お客様にはその都度足を運んでいただきま…

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患者の方のための美容室を アデランス・医療事業推進部部長 大里修治さん

アデランスが運営する病院内理美容室『こもれび』では、ネイルやメイクの施術もしています。これらのサービスを提供するようになったのは、現場で働く看護師さんたちの声がきっかけでした。アデランスの大里修治さんはいいます。 「看護師さんたちは、患者さんが何を必要としているかをもっとも理解している存在です。そうした現場の声をいち早く取り入れ、患者さんが求めるサービスの実現に向けてスピーディに動けることが病院内ヘアサロンの強みだと思っています」 病気のせいで美しくなるこ…

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「先生、抗がん剤で髪の毛は抜けますか?」

大分大学医学部の猪股雅史先生は、これまでに何度も、がん患者からこの質問を受けました。抗がん剤はすぐれた治療効果を上げる一方で、いくつかの副作用が起こります。その一つが脱毛です。 「脱毛は、抗がん剤治療で患者さんがもっとも気にされる副作用です。その心理的ダメージは相当なもので、髪の毛が抜けるなら、抗がん剤治療はやりたくないといわれる方もいます。しかし、脱毛は直接命に関わる副作用ではないため、医学的にそこまで注目されてきませんでした」 患者さんの気持ちと医学的…

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笑顔になれなかった人への思いが、次なる研究課題へつながる

髪の毛は、ある期間成長すると自然に抜け、しばらくするとまた新しい毛髪が生えてきます。毛周期と呼ばれるこのメカニズムと男性型脱毛症のメカニズムとの関係を解き明かしたのが、大分大学客員教授の板見智先生。日本における毛髪研究の第一人者です。日本の薄毛治療の現場で使われている「脱毛症診療ガイドライン」の策定にも携わりました。 「2010年に策定された最初のガイドラインは、男性型脱毛症に特化したものでした。しかし、2017年に改定されたガイドラインでは、女性型脱毛症…

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ウィッグを医学的なエビデンスから評価できるように

ウィッグは、脱毛に悩む人が自分らしく生活するために欠かせないアイテムです。ウィッグを着用することで、心理的コンプレックスが改善され、前向きに生活できるようになるといわれています。ところが、これまでその事実を医学的な視点で調査したデータはありませんでした。 「医学的な効果を示すエビデンスがなければ、ウィッグはただのファッションアイテムというあつかいにしかなりません。患者さんからウィッグをしたほうがいいでしょうかと相談されても、医師には薦めるべき根拠がなかった…

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看護師として、患者さんの笑顔を取り戻すために

エビデンスに基づいて頭皮を科学的にケアする「スカルプケアサイエンス」の研究で、がん治療で脱毛した女性に笑顔をもたらしているのが、東京大学の真田弘美先生です。真田先生は看護師として床ずれの研究を開始し、その後、乳がん患者の創傷を研究。そのなかで耳にしたのが、乳がん患者の悲痛な声でした。 「乳がんの抗がん剤治療では、ほぼすべての人が脱毛します。それまで私たちは、その心のケアに重きを置いていました。ただ、脱毛することは治療前に知らされるので、心と体の準備をなさっ…

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【コラム 2】キャンサーフィットネス代表理事 広瀬真奈美さん

がん経験者の呼び名である“がんサバイバー”という言葉もずいぶん浸透してきています。そのがんサバイバーのみなさんに、運動を通して、治療で弱った体力を回復させ、社会復帰をサポートしているのが、キャンサーフィットネスの広瀬真奈美さんです。がんサバイバーの一人でもある広瀬さんが、設立したサービスです。 アデランスの社員が初期から会員となっていたことでつながりがあり、現在はアデランスの会議室をフィットネスの教室会場として提供しています。 がんサバイバーさんとの大切な…

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