脱毛症の原因となる「自己免疫疾患」という病気とは

2019年9月25日

目次:

■「自己免疫疾患」って、どんな病気?

■女性に多い「自己免疫疾患」とその原因

■「自己免疫疾患」による脱毛の種類

■「自己免疫疾患」による円形脱毛の「治療方法」



女性に多い病気の一つとして「自己免疫疾患」があります。「自己免疫疾患」は抜け毛の原因となることもあるので、このページでどういった病気なのかを解説します。



脱毛症の原因となる「自己免疫疾患」とは

■「自己免疫疾患」って、どんな病気?


免疫とは、体内にウイルスや細菌などが侵入したとき、攻撃して撃退する現象です。健康な人には病原体を退治してくれるありがたい存在ですが、過度のストレスといった何らかの要因で、自分自身の組織や細胞を敵と勘違いし、攻撃してしまう場合があります。この状態を、自己免疫疾患といいます。慢性的な微熱や関節の痛み、倦怠感(けんたいかん)などの症状が表れ、難病といわれる膠原病の全身性エリテマトーデス(SEL)やシェーグレン症候群なども自己免疫疾患に分類されます。



■女性に多い「自己免疫疾患」とその原因


アメリカの自己免疫疾患の患者数は、850万人(2013年時点)ともいわれ、その80%が女性との報告があります。日本でも、女性の患者数は男性の2〜10倍とのデータがあります。このことからもわかるように、自己免疫疾患は主に女性がかかりやすい疾病と考えられています。


自己免疫疾患の原因や女性がかかりやすい理由は、いまだ解明されていません。しかし、自分の体を敵とみなすメカニズムには、非自己である胎児を体内で受け入れられる女性ならではの自己免疫構造が関係しているのではないか、との分析もあるようです。



■「自己免疫疾患」による脱毛の種類



謎の多い病気・自己免疫疾患ですが、実は円形脱毛症の原因といわれています。円形脱毛症にはさまざまなタイプがあるので、その種類をご紹介しましょう。


  • 単発型
  • 突然、頭髪の一部が円形または楕円(だえん)形に脱毛するタイプ。この脱毛した部分を脱毛斑と呼びます。頭髪だけでなく、眉毛や体毛に症状が出ることもあります。また、単発型から多発型に移行する場合も……。


  • 多発型
  • 突然、頭髪の一部が円形または楕円(だえん)形に脱毛するタイプ。この脱毛した部分を脱毛斑と呼びます。頭髪だけでなく、眉毛や体毛に症状が出ることもあります。また、単発型から多発型に移行する場合もあります。


  • 蛇行型
  • 後頭部から側頭部の生え際が帯状に脱毛するタイプ。治療期間が複数年に渡ることも珍しくない脱毛症です。


  • 全頭型
  • 頭部だけでなく、全身の毛髪が脱落してしまうタイプ。最終的には頭髪すべてが抜け落ちてしまいます。治療が長期に渡るため、ウィッグを着用しながら治療する人も多いようです。


  • 凡発(はんばつ)
  • 全頭型がさらに進行し、眉毛やまつ毛、体毛なども抜けおちてしまうタイプ。自己免疫疾患の脱毛症としては最も重度といわれ、こちらも治療が長期化します。


  • 逆蛇行型
  • まさに「蛇行型」の逆で頭頂部が脱毛して、生え際の毛髪が残る脱毛症。極めてまれな脱毛タイプです。



■「自己免疫疾患」による円形脱毛の「治療方法」


明確な原因がわからない自己免疫疾患による脱毛症は、比較的軽いものから重度のものまで、タイプもさまざまです。治療法も数多くのものが存在しますが、そのうちいくつかをご紹介しましょう。


なお、円形脱毛症の治療は皮膚科等の医療機関で行われるものがほとんどです。脱毛の状況や年齢によっても治療方法が異なります。


【ステロイド局注療法】
ステロイド系の薬剤を頭皮に5mm間隔で局所注射する治療法で、4~6週間に1回行います。ステロイドは局所注射以外にも外用で使用されることがあります。症状固定し脱毛面積25%未満の成人に推奨されます。


【局所免疫療法】
かぶれを引き起こすスクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)といった物質を使って、免疫反応を起こさせて発毛を促す方法です。難治性の脱毛症に適用される治療法で、通常2週間に1回程度の通院が必要です。ステロイド外用薬と合わせて実施されることもあります。症状固定し脱毛面積25%以上の場合推奨されます。


【外用剤による治療法】
医療用として保険適用になっている外用剤「塩化カルピロニウム液(フジロン液)」を塗布します。脱毛部位の血流を増進させ、発毛を促します。


【冷却療法】
綿棒に液体窒素を含ませ、病変部に数秒間押し当てる治療方法です。週に1回ほど通院し、継続的な治療を要します。


【紫外線療法】
ソラレンという紫外線の感受性を高める薬剤を塗布した後、波長の長いUVA(長波紫外線)を照射する「PUVA療法」が従来の治療法でした。現在はUVB(中波紫外線)を照射して治療を行います。主に、難治例に応用される治療法です。



■まとめ

女性に多いとされる「自己免疫疾患」について、また、自己免疫による脱毛のタイプと治療方法を紹介しました。根元となる原因が不明な疾患で脱毛症になってしまったら、不安になるのではないでしょうか。そういうときは、早期に専門の医師やヘアケアアドバイザーに相談してください。専門家とともに治療方法や脱毛症との付き合い方を模索しながら、1日でも早い治癒を目指しましょう。




記事初回公開日: 2018年11月21日


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