頭皮ニキビができる原因と改善方法

2020年7月8日

目次:

■これって頭皮ニキビ?

■頭皮ニキビの原因とは?

■繰り返す方は要注意!こういう対処の仕方は避けよう

■頭皮ニキビの予防・改善方法

■頭皮ニキビと薄毛の関係



頭皮は皮脂の分泌が多く、思いのほか毛穴汚れが起こりやすい部位です。ニキビができることも少なくありません。さらに頭皮は蒸れやすいため、赤く痛みのあるニキビに悪化してしまったり頭皮に炎症が生じたりすることで、薄毛の原因になることもあります。そこで今回は、頭皮のニキビケアについて詳しく解説します。


■これって頭皮ニキビ?

頭皮ニキビは、頭皮の毛穴が皮脂によって詰まり、その内部で頭皮に常在しているアクネ菌などの細菌が繁殖することによって引き起こされます。ニキビとなる前の毛穴が詰まった状態はコメド(面ぽう)と呼ばれるニキビ予備軍です。コメド内のアクネ菌は皮脂などを栄養源にして増殖しますが、その際に生まれる「遊離脂肪酸」と呼ばれる物質が、毛包(もうほう)を含む詰まった毛穴の中で炎症を引き起こします。毛穴を中心に頭皮の一部が盛り上がり、炎症が強くなると赤みや痛みを伴うようになるのです。


また、頭皮は皮脂の分泌が非常に多く通気性が悪いため、頭皮にできたニキビは悪化することが多々あります。悪化したニキビはズキズキとした強い痛みを生じ、内部に溜まった膿が毛穴から漏れ出ることもあります。


頭にポコッとした「できもの」がある場合は鏡で頭皮を見てみましょう。毛穴を中心にやや赤みのある盛り上がりが生じているものは頭皮ニキビの可能性が高いでしょう。


■頭皮ニキビの原因とは?

ニキビは頭皮だけではなく、皮脂を分泌する毛穴が存在する顔や背中などの部位に広く発症します。ニキビ発症の原因として考えられるのは、皮脂の過剰分泌とアクネ菌などの細菌類が皮膚に存在すること。そして、皮膚が硬くなり毛穴詰まりが起こりやすい状態になることです。では、頭皮ではどのようなことが、これらの原因になるのでしょうか?


ターンオーバーの乱れ

ターンオーバーとは、皮膚の新陳代謝のことです。皮膚の表面にある角質層は約一カ月で新しい細胞に入れ替わると言われています。この周期のことをターンオーバーと呼びます。


ターンオーバーが規則正しく巡っていれば、皮膚は適度な水分を保ちながら弾力性のあるモチモチな状態をキープできます。しかし、ターンオーバーは年齢、ストレス、不規則な生活リズムなどによって容易に乱れてしまうもので、頭皮についても例外ではありません。


ターンオーバーが乱れた頭皮は、表層の古い角質層がいつまでも居座り続けるため、弾力性が低下して硬くなります。その結果、毛穴の開きも悪くなり皮脂が詰まりやすくなるのです。


シャンプーの仕方が間違っている

頭皮は皮脂の分泌が非常に多く、髪の毛などで蒸れやすいため、不潔になりやすい部位といわれています。頭皮の汚れを落とすためのシャンプーの仕方が間違っていると、溜まった汚れを落としきれずに、毛穴の皮脂詰まりを引き起こす要因となりえます。


ただゴシゴシと力を入れて洗っても、頭皮が傷つくだけで毛穴内部の汚れは落とせていないかもしれません。毎日シャンプーしているから安心!というわけではありませんので注意しましょう。


■繰り返す方は要注意!こういう対処の仕方は避けよう

頭皮はニキビができやすい条件がそろった部位です。多くの方が一度は頭皮ニキビを経験したことがあるのではないでしょうか?もちろん、たまに頭皮ニキビができる分には、「たまたま皮脂が詰まった」「たまたまターンオーバーが乱れた」とも考えられます。ですが、頭皮ニキビを繰り返す方は誤った対処をしていることが考えられます。次のようなことには注意しましょう。


つぶさない

頭皮ニキビは目立ちにくいとはいえ、痛みが強くなりやすく、わずらわしいものです。「少しでも早く治したい!」という思いから、ニキビをつぶす方も少なくありません。


しかし、ニキビは毛穴内で炎症が生じることによって引き起こされるものです。無理につぶすと炎症が周囲に広がってしまったり、クレーターのような跡が残ってしまったりすることもあります。ですので、ニキビをつぶすのはやめましょう。


自然乾燥させない

ニキビは悪化すると、内部に溜まった膿などが漏れ出てグジュグジュした状態になることがあります。対処方法が分からず自然に乾くのを待つ方も多いですが、炎症が周囲の頭皮に広がってしまうことも少なくありませんので注意が必要です。ここまで悪化したニキビは、医師の診察を受けるなどできるだけ早い対処が必要です。


■頭皮ニキビの予防・改善方法

上述したように、頭皮ニキビはさまざまな原因によって引き起こされます。悪化すると髪の毛のもととなる毛包に深刻なダメージを与えることもあるため、しっかり予防・改善していくことが望まれます。では、頭皮ニキビはどのようにして予防・改善すればよいのでしょうか?


規則正しい生活を送る

頭皮のターンオーバーを整えるには、十分な睡眠や休息を確保し、バランスよい食生活を送るなど規則正しい生活を送ることが大切です。
最近、生活が乱れがちだな…と思う方は生活習慣を見直してみましょう。


正しいシャンプーの仕方を身に付ける

皮脂の汚れをしっかり落とすには、正しい方法でシャンプーすることが何よりも大切です。しっかり泡立てたシャンプーで、毛穴の中まで浸透させるようなイメージでやさしく揉み込むように泡をなじませながら洗いましょう。


枕カバーを洗う

意外と盲点なのが枕カバーの管理です。せっかく丁寧にシャンプーをしても、頭皮と直に触れる枕カバーが不潔な状態では、頭皮も不潔になり、ニキビができやすくなってしまいます。 枕カバーは皮脂だけでなく、汗なども付着しやすいため、思いのほか汚れやすいものです。できるだけ小まめに洗って、清潔な状態をキープしましょう。


ひどい場合は皮膚科へ

適切なセルフケアを行っていても頭皮ニキビを繰り返す方、膿が漏れ出るような頭皮ニキビがなかなか治らない方は、皮膚科で治療を受けることをおすすめします。


なかには、ダニの一種によって引き起こされるなど、病院で治療を受けなければ治りにくいケースもあります。放っておくと頭皮にクレーターのような跡が残ってしまうこともありますので、できるだけ早いうちに医師の診察を受けておきましょう。


■頭皮ニキビと薄毛の関係

ニキビは毛包を巻き込んで毛穴の中に炎症を引き起こすものです。悪化すると、毛包に強いダメージを与えることも少なくありません。その結果、抜け毛が進行してしまう可能性もあります。


また、ニキビは悪化すると頭皮の広い範囲に炎症を引き起こすこともあり、ニキビができた部位だけでなく、広い範囲で薄毛が目立つようになることもあります。


健康的な髪の毛が生えて、ハリやコシを保ちながら成長していくには、健康的な頭皮環境が必要だといわれています。頭皮ニキビができやすい方は健康的な頭皮環境ではない恐れがあるため、まずは、頭皮ニキビができにくくなるようなセルフケアを行ってみましょう。



■監修者
稲葉 岳也(医師)



専門
耳鼻咽喉科・皮膚科・アレルギー科

日本耳鼻咽喉科学会認定 耳鼻咽喉科専門医
日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

東京慈恵会医科大学卒業後、千葉大学大学院にて医学博士取得。
東京慈恵会医科大学附属病院、聖路加国際病院を経て、2004年にクリニックを開業。


記事初回公開日:2020年7月8日

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