世界24か国で特許を取得した人工毛髪「バイタルヘア」は、人毛の自然さをそなえつつ、扱いやすく耐性に富んだすぐれた毛材です。
この研究開発を手がけたのが、アデランスで事務系の仕事をしていた文学部出身(専攻は美術)社員だと聞いて驚かない人はいないでしょう。

1983年、人工毛の研究開発をまかされたのは入社3年の白樫豊。知識、経験、研究設備がほぼゼロのなか、素人なりの発想や実験研究をへて、当時は使われていなかったポリアミド樹脂に着目したことが成功への道筋を決定づけました。

また、アデランスの社員の多くは、理美容師の資格、さらには髪の知識を身につけた毛髪診断士の資格をもっています。髪をあつかう現場はもちろんのこと、広報室などの事務系の社員でも。いわばプロフェッショナル集団です。

だれでも初めは素人です。
機会があるか、技術取得を支援しているか、専門家との協力体制があるか。
プロフェッショナルたちが生まれるために必要なのは、そうした環境です。
これは、アデランスが創業から大切にしている「最高の商品」を「自社開発」するというこだわりを支えています。
そして、社員にとっては「仕事へのプライド」「やりがい」になっているのです。

取材・文/中山圭子 撮影/富本真之