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アデランスの研究開発 Case

老化の原因「糖化」による生成物「AGE」をためる生活習慣から脱却せよ!

久留米大学医学部  糖尿病血管合併症病態・治療学講座 山岸昌一教授

人の体が老化するには原因がある。年をとれば、皮膚がたるみ、血管がボロボロになり、視力が落ちる。
これは自然にそうなるのではなく、体の中で組織が何らかの変化を起こすからだ。その老化のきっかけになるのが「糖化」という現象で、糖化によって「AGE」という物質が生成される。このAGEは、体のなかでつくられるだけでなく、食べ物の中に含まれて体内にもとりこまれるという。やっかいなのは、人のたんぱく質が入れ替わってもこのAGEだけは残り、どんどん蓄積されていく。
このAGEを体にためない生活習慣改善から毛髪について考える。

体を老化させるAGEの正体

老化物質AGEとは何か──。
山岸先生の著書『老けたくなければファーストフードを食べるな』(PHP新書)から引用して説明いたします。
100年ほど前、フランスの食品を研究する化学者メイラードが糖とたんぱく質を加熱すると褐色あるいは黄色い物質ができることを発見しました。以後、この褐変反応は「メイラード反応」と呼ばれます。我々の生活の中でいえば、小麦粉(糖)と卵(たんぱく質)をミックスしてホットケーキを作るとキツネ色(褐色)になる現象や、肉や魚を焼けば焼き目や焦げ目がつく現象が挙げられます。
1969年、血液を専門に研究するアメリカのサムエル・ラーバー医師が、メイラード反応は食品だけでなく人間の身体の中でも起きていることを発見しました。血液中のヘモグロビンは赤血球の中にあるたんぱく質の一種で、肺から体の各組織に酸素を運搬する働きをします。あるときラーバー医師が糖尿病患者のヘモグロビンを調べたら、奇妙な性質を持つヘモグロビンを発見しました。それは結合して変質(糖化)した物質「ヘモグロビンA1c」でした。しかも高血糖である糖尿病患者は、これが普通の人の2~3倍多く存在していました。
さて、糖尿病患者に共通する特徴的な症状とは何か。それはまさしく「老化」です。普通の人より皮膚が脆く、骨がボロボロになり、歯周病や白内障、認知症になるのも格段に早いといわれています。血管も脆く、心筋梗塞や脳梗塞になるリスクも普通の人の約3倍も高いそうです。
しかし、これらの老化の犯人はヘモグロビンA1cではありませんでした。なぜなら、ヘモグロビンを含む赤血球は4カ月ごとに入れ替わるからです。新しい赤血球に入れ替われば、ヘモグロビンA1cも「無し」となります。もちろんそのまま高血糖が続けば再びヘモグロビンA1cは増えますが、治療により血糖値を下げれば元の正常なヘモグロビンに戻ります。ではなぜ、血糖値を下げて正常なヘモグロビンに戻しても老化やさまざまな病気の進行はいっこうに止まらないのでしょうか。
ここで、先の食品化学で糖とたんぱく質を加熱すると褐色になる「メイラード反応」が体の中でも起こっているのではないか、という研究が進みます。ヘモグロビンというたんぱく質と糖が体温37度で長い時間温められた結果、体内にも焼き目や焦げ目のような反応が起こっているのではないか、という研究です。
その結果、ヘモグロビンA1cに代表される糖化物質はさらに反応が進み、たんぱく質が糖化し変質(つまりメイラード反応を起こした)した物質、いわば毒性の強い終末糖化産物に置き換わった物質が老化を進めている、ということが明らかになりました。この終末糖化物質は、時間という「加齢age」を意識して「AGE」という略号で呼ぶようになったのです。
やっかいなのは、このAGEという最終的な糖化物質はなかなか代謝されず、体のたんぱく質が入れ替わっても(赤血球は4カ月で入れ替わる)残り続け、どんどん蓄積されていくのです。AGEは「高血糖の記憶」として体に残り続け、各細胞のレセプター(受容体)「RAGE」と結びつき(21頁の左上図参照)、糖尿病患者の細胞を攻撃し、組織を劣化させ、老化を加速させるのです。

老化を速めるAGEの存在

山岸先生がAGEの研究をするようになった経緯を教えてください。

ことの始まりは糖尿病患者の診療からです。私が医者になったのは1989年で、その頃糖尿病はおいしいものを食べ過ぎた人がなるという、いわば贅沢病という位置づけでした。当時の糖尿病患者の多くは血管がボロボロになって心筋梗塞を起こしたり、透析が必要になって病院に運び込まれてくるのですが、そうした糖尿病患者の診察をしていると、ほかにも骨が脆かったり、がんや認知症を発症する人も多いという印象を持ちました。
専門的にいいますと、糖尿病になると大小の血管に障害が起こり、とりわけ腎臓と目の血管、心臓の血管がやられます。特徴的なのは目の網膜の血管がボロボロになる網膜症を発症することで、それは糖尿病以外では起きないことも分かっていました。では先ほどの心筋梗塞や透析が必要になる腎臓病はどうかといえば、実は糖尿病患者でなくても起きるのです。心筋梗塞を起こした患者は、30~40%は糖尿病で、残りは糖尿病ではありません。透析が必要な人も、糖尿病が原因の患者は45%で、55%は外れます。ところが、糖尿病で目の網膜に異常のある人の眼底写真を見ると、百発百中、糖尿病なのです。
そこで私は、目の網膜障害が一体どういう機序で起きるのか、というところから研究を進めました。糖尿病は高血糖の病気で、糖尿病が長く続くと何よりも先に目に障害が起きるのです。しかし不思議なのですが、試験管レベルで目の細胞(たんぱく質)をいくら高血糖に晒しても、目の網膜で起きている障害は起きないのです。高血糖は糖尿病が目の網膜症を起こす必要条件ではありますが、十分条件ではなかったのです。ところが、高血糖に目の細胞を長い間晒していたら、人の網膜で起こる障害を再現することができた。これはどういうことかといえば、高血糖から何か別のものが作られ、それが作られるにはある程度の時間が必要だということが分かりました。つまり糖尿病は高血糖ではあるけれど、高血糖が網膜障害を起こすのではなく、高血糖が時間の経過の中で次の段階にステップして何かに置き換わり、網膜障害を起こしていたんです。高血糖が必要条件で、そこに時間という十分条件で網膜症になっていたのです。

その何かに置き換わった物質こそが、AGEというものだったのですね。

そうです。AGEの概念がアメリカの医学論文に出たのは1984年で、まだ日本の医者は誰もその存在を知らない頃です。私が初めて糖尿病と、糖尿病が引き起こす特徴的な網膜症との間には、高血糖に時間をかけて作られた老化物質AGE(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)が直接絡んでいるということを発見しました。
そこで糖尿病に特徴的な目の障害がAGEで説明できるのなら、糖尿病患者のいろいろな臓器が障害を受けて老化が進むのは、臓器を作っているたんぱく質の糖化現象が本質的に関わっているのではないかと、さまざまな臓器に関して研究を発展させていきました。心筋梗塞は先ほど申上げましたように、糖尿病でなくても起きますが、血管内のたんぱく質の老化現象であるAGEの存在によってある程度の病態が説明できました。また骨が脆くなる骨粗しょう症やアルツハイマー病にも、糖尿病によって生体内のたんぱく質の糖化現象が進み、AGEが関わっていることが明らかになってきたのです。


AGEをためない食事をすること

なぜこれほど高血糖が原因の糖尿病患者が増えたのでしょうか。

体の中でAGEは作られますが、1997年に加工品やファストフードなどの食事によって外からもAGEが体の中に入ってくる可能性があることがアメリカの論文で示されます。
AGEとは、実は豊かな生活との引き換えに体に入ってくるトレードオフなのです。というのも、人類が火を発見したのと引き換えに、食事由来のAGEを口にするようになりました。火を発見するまでは食べ物はすべて生で食べていて、体にAGEなど入る余地はほとんどありませんでした。火の発見は人間足らしめる発見ですが、火を使っておいしい食事を追求した結果、AGEが体の中に入るのは避けられなくなったのです。
しかも高血糖による障害はリアルタイムに発症するのではなく、蓄積されてから発症するというタイムラグも重要です。欧米の研究では、糖尿病患者のグループを二つに分け、一方ははじめの6年間に徹底的に血糖値を下げ、もう一方はあまり血糖値を気にせずに緩い治療をしました。そしてその後の24年間、両方とも血糖値を下げる治療をするのですが、30年後に緩い治療をしたグループでは血管障害と死亡のリスクが上がるという結果が報告されています。高血糖のツケは蓄積して残り、そのツケとはAGEなのです。 

AGEを体にためないためには、どんな食生活を送ればいいのでしょうか。

現在、糖尿病患者は二極化していて、一方は飽食でお金持ちのグループ、もう一方は貧困が原因のグループです。糖分が体の総カロリーに占める割合は、欧米系は50~55%、アジア系は55~60%がちょうどいいいわれています。過度の糖質制限をしている人や70%以上の糖分を摂っている人は死に至る確立が高いので要注意です。
糖質制限をしている人の中に動物性たんぱく質、MEC(Meet、Egg、Cheese)中心に補っている人を多く見かけますが、心筋梗塞に要注意です。ただし、40%程度の糖質制限をしている人でもその分を植物由来の脂肪とたんぱく質、例えば納豆か豆腐で補っている人は死亡率が上がりません。また、70%以上の糖分を摂っている人は肺炎で亡くなる確立が高い。おかず無しの白米だけを食べている人で、栄養を摂っていない栄養失調状態なので免疫力がないのです。
同じ食材でも調理の仕方によってAGE量が違います。一般に生で摂取すればAGE量は最も少なく、鍋物や水炊きは次に少ないのです。焼いたり、油で揚げれば、AGE量は格段に増えてしまいます。特にこの30年間に蔓延している加工食品やファーストフード、清涼飲料水は要注意食品です。最近の清涼飲料水の甘味づけには果糖とフルクトース・コーンシロップ*2を使ったものが多く、ブドウ糖に比べ、10倍も速くAGEを作っているのですから。


薄毛防止策はAGEを減らすこと

AGEを減らすことは、脱毛予防にも効果的ですね。

糖尿病患者あるいは食事からAGEを摂っている人は、老化が進んでいろいろな病気を発症します。また、「老け顔は早く死ぬ」という研究論文も海外では出されています。実際に糖尿病患者100人の顔に関する調査をしましたが、AGEが顔のコラーゲンにたまれば皮膚に与える影響は大きく、皮膚はたるみ、しわになるし、しみができ老け顔になりますし、そういう人ほどさまざまな病気を持っているのです。
髪の毛に関しても、体にAGEがたまると髪の毛根にある毛乳頭細胞にもたまります。AGE毛根にある受容体(レセプター)に合致すると毛根部で炎症が起きてしまい、発毛を促す因子が生成されず、髪の毛が抜けてしまったり、太くならないこともわかっています。ですから、今から食習慣を変えて、AGEを抑えるような食事を摂って、体の内面からアンチエイジング対策をとることで、少しでも抜け毛を予防することが大事だと考えられます。とにかく、AGE対策は、できるだけ早く、今からやらなければならないことなのです。

インタビュー・文/佐藤彰芳 撮影/圷 邦信、後藤裕二

アデランスの研究から生まれた開発と商品・サービスの歴史
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